精油でアレルギーは起こるのか?

過剰摂取や不適切な使用方法をなさらない限り、ほとんどアレルギーを発症することはありません。世界的にも精油の使用でひどいアレルギーを起こされる例はさほど多くはありません。ですが個人の体質、精神的肉体的ストレス状態、妊娠中や授乳中などホルモンバランスや肉体の状況が特殊な状況下など、何らかの条件により、一度に大量使用した時や継続して何週間も使用した時はアレルギーを発症しやすくなりますので、自然療法だからどのような使用方法をしても大丈夫、ではありません。ハーブティーでも過剰摂取はよくありません。

​また、元々花粉症などをお持ちの方はアレルギーになりやすい傾向もあります。ほとんどの精油は多少なりともアレルゲン成分を持っています。

ちなみに筆者は梨が大好きで、数年前に梨狩りでLサイズを3つ食べたところ梨アレルギーを発症しました。その後1年梨断ちをしたところ今は1個なら平気になりましたが、過剰摂取は何であれアレルギーを発症することがあります。

そういったトラブル防止のため、ご自身の変化を確かめながらご利用なさるようにしてください。何か異常を感じられましたらすぐに使用を中止し、自己判断なさらず、すぐ病院を受診してください。また、このページの下部に対策を記載しておりますのでご参考ください。

 

海外で精油でアレルギーを起こした例

精油が大好きで1~2年ほどマッサージ、皮膚塗布などの使用により毎日かなりの量を使用されていた方がアメリカ人女性はある時に、すべての精油に対して赤味や発疹などのアレルギー症状を起こすようになられました。料理やお菓子などに微量に含まれている程度の精油であれば大丈夫ではあるそうなのですが、その後、薄めても皮膚塗布することが出来なくなったそうです。
この方の例としては毎日5-15ccという、相当量の精油を使われていたようです(体への塗布量などは不明)。品質や会社名は不明です。

 

そもそもアレルギーとは?

アレルギーという仕組みは、人や動物の「免疫反応」と関係しています。

免疫とは、簡単に言えば本人の体を外敵や毒物から守るために備わっている仕組みです。例えば冬は風邪やインフルエンザのウィルスがあちこちにいて、隙あらば体内に入ってきてしまいます。しかし、体内に入って来た時に免疫がしっかりと働いてくれていると、風邪ウィルスは体内で繁殖してしまう前に外敵として駆逐されるので、私たちは風邪やインフルエンザの症状が出ることなく、元気でいることが出来ます。

ですが、免疫が低下している時は、ウィルスや細菌などが繁殖し、体調不良や不快感に繋がりやすくなります。冬は乾いた風邪でウィルスが飛散しやすいのと、寒さで免疫が落ちやすいので、風邪やインフルエンザが夏よりも流行しやすいのです。また、一度体内に侵入して駆逐した外敵の情報は免疫システムにて記憶され、次に同じ外敵が入って来た時に迅速に対応することが出来るため、同じ外敵には強くなります。これを「免疫が出来た」と言います。

そのように、体は外敵の情報を記憶し対応しています。

特に、強い症状を感じた外敵の情報は、「超危険物リスト」として扱われ、体内に入って来た時に「何としてでも追い出さなくてはいけない」ものとして対応します。

ですが、この外敵情報の記憶のされ方は、その時の状況にも左右されます。例えば妊娠中やストレスが強い状態の時は、外敵の影響を普段より強く感じてしまい、「危険物リスト」のほうがふさわしい外敵に対しても、「超危険物リスト」として扱ってしまう時もあります。それと、あるそんなに毒性が強くないが成分が濃い物質に対して、本人はあまり強い影響を感じていなかったとしても、繰り返し使われる食品や薬品に対して体が負担を感じ続けている時、ある日危険物リスト、あるいは超危険物リストとして扱い始めることもあります。

つまりアレルギーとは、「免疫システムに危険物リストとして登録された物質に対する、強い反応」です。

花粉や猫のフケにアレルギーを持つ人は、それらが体内に入って来た、あるは付着したと感じた時に、それを何としてでも外に出そうとして、かゆみやくしゃみという形(アナフィラキシーショック)で必死に抵抗しようとして辛くなってしまいます。いわゆるハチのアナフィラキシーショックは、あまりにも強い毒性を過去に得たがために、それが次に入って来た時は何としてでも対応しなければと思った結果、本人に命の危険を与えるほどの反応を起こしてしまう状態のことを指します。

ですが、ハチに一度刺されたら、2回目に刺されたときに必ずアナフィラキシーショックで死んでしまうのか?と言えばそうは言い切れません。ある程度免疫が強めの時に刺された・・・ということであれば、免疫が起こすアナフィラキシーショックの度合いももっと弱くなるでしょう。逆に、体が弱っている時にさらに蜂に刺された、ということであれば、アナフィラキシーショックは強めに出ることも考えられるようです。あくまで可能性の話ではありますが・・・・

また、筆者が梨アレルギーになった時のことですが、当時は梨を2時間以内に4つも食べた為、さすがにひどくお腹を壊しました。その時に、「梨は危険」と免疫機構に判断されてしまったのでしょう。それから1か月もしないうちに1個まるまる梨を食べた時には、免疫が「早く外に出さなければ」と無理やり腸を動かしたためか、相当な激痛を伴う状態となり、死ぬかと思いました…ですがしばらく梨を食べるのを控えめにしていたら、3年後くらいになってやっと、1個梨を食べた程度ではアレルギー反応は出なくなりました。

あと、花粉症が全くなかった方が、春や秋の花粉の季節に妊娠あるいは出産した際に、急に花粉症を発症するようになられたという話もたまにお伺いします。体のバランスが普段と違う時も免疫が低下しやすいので、その時に花粉が要注意リストに入ってしまったのでしょうね。

とにかく体が、毒素や、毒素ではなくても体に負担があるものを、短時間に大量に体内に入れてしまった時、あるいは本人にとって負担を感じる量を長期間継続的に体内に入れた時に、それまで大きな問題はなかったとしても免疫機構に要注意リストに入れられてしまい、ある日からアレルギー反応を出すようになってしまうことがあるのです。

 

 

香料アレルゲンについて

ヨーロッパでは、EU化粧品規則(EC 1223/2009)において特定の香料成分が引き起こす26種類の香料アレルゲン物質がリスト化されています。最終製剤(最終的に顧客に販売される状態)でこれらのアレルゲン物質が基準値以上の場合、該当する化粧品に対してそれらを表示しなければなりません。
これはヨーロッパの規則であり日本ではそういった規則はないため表示する必要はありませんが、香料アレルゲンをお持ちで気を付けたい方もおられると思い、サクララヴニールの精油には成分分析表にて含有率を%で表示しております。


■表示すべき香料アレルゲンとその濃度
(ヨーロッパ化粧品規則基準)

 使用後に
・洗い流さない製品:0.001%濃度以上
・洗い流す製品:0.01%濃度以上


※精油は化粧品ではありません。香料アレルゲンによるトラブルを未然に防ぐ方法として、植物油で薄めての使用が挙げられます。

(CAS No 5392-40-5)
Citronellol シトロネロール
(CAS No 106-22-9)
Coumarin クマリン
(CAS No 91-64-5)
d-Limonene d-リモネン
(CAS No 5989-27-5)
Eugenol オイゲノール
(CAS No 97-53-0)
Farnesol ファルネソール
(CAS No 4602-84-0)
Geraniol ゲラニオール
(CAS No 106-24-1)
Hexyl cinnam-aldehyd ヘキシルシンナムアルデヒド
(CAS No 101-86-0)
Hydroxy-citronellal ハイドロキシシトロネラール
(CAS No 107-75-5)
Hydroxy-methylpentylcyclohexenecarboxaldehyd ヒドロキシメチルペンチルシクロヘキセンカルボアルデヒド
(CAS No 31906-04-4)
Isoeugenol イソオイゲノール
(CAS No 97-54-1)
Linalool リナロール (CAS No 78-70-6)
Methyl heptin carbonate メチルヘプチン炭酸塩
(CAS No 111-12-6)
Oak moss and treemoss extract オークモスとツリーモス抽出物
(CAS No 90028-68-55)
Treemoss extract ツリーモス抽出物
(CAS No 90028-67-4)

 

精油でアレルギーを起こさないために

初めて使用する精油は少しずつ
初めて使用する精油については、少しずつ試してください。

​アレルギー検査や農薬試験が十分されていて安全性が高くとも、ご本人にとっては気づかぬところで負担があり、アレルギーを引き起こしてしまうかもしれないからです。


同じ精油(ブレンド含む)を長期連続使用しない
まずは使用方法についてご確認ください。どのような方法で使用するのが良いのか?今から行おうとしている方法はその精油の使用方法として正しいのか?複数の書籍やネットにてご確認ください。

また、同じ精油や精油ブレンドを、2週間以上連続で大量に使用することは避けてください。2~3週間使用し続けたらアロマのケアを数日休むと良いでしょう。精油に限らず、1日の使用量x継続日数が本人の限度(個人差あり)を超えた場合、アレルギーを発症する場合があります。精油の代謝経路は人間に存在してはいるものの、精油は高濃度の植物成分を含んだ物質のため、製品に問題がなかったとしても使用量と頻度が多ければ負担が大きくなりトラブルに繋がりますので、長期の単一の精油あるいはブレンド精油の大量継続使用は避け、体調などに変化はないか注意を持って使用しなければなりません。
*その後同じテーマでケアを継続される場合でも、使用する精油やブレンドを一度変更しましょう。


飲用される際には
まず、飲用しても問題がない精油なのか、飲用しても良い分量はいかほどなのかを十分に確認します。飲用によるケアは7歳以上からで、1回使用量や1日最大量については12歳未満は大人(体重50kg以上)の半量以下にします。

ネットの情報のみで飲用するのではなく、経口についてはアロマテラピー講師や十分なアロマテラピー実践の知識がある方から説明を受け、納得されてからになさってください。

インターネットには「経口摂取は危険」「絶対にしてはいけない」という情報が出回っているため、大丈夫だと納得していない状態で飲用されると、精油が理由ではなくその不安感から体調に良くない影響が出ることも日本ではとても多く報告されています(プラシーボ効果の反対のノセボ効果と言います)。精油を飲むべきではないと言われるにも理由があります。

精油の9割が偽和や偽物で、精油の安全性が​不安な精油が出回っていること、そしてアロマが流行り始めたころはまだアロマ講師の知識も十分ではなかったことで安全のためにも飲用不可という姿勢を取られたためと、さらには、経口摂取が出来るというなら食品添加物の認可を受けて輸入をしなければならないことがあるためかと思われます。

また、飲用するなら天然100%ピュアで、かつ安全性が確保されている精油のうち、飲用しても良い種類のもののみにしてください。「自己責任」であるがゆえに、ご自身のご健康のために、しっかりと調べてご利用下さい。

飲用においても同じ精油や精油ブレンドを2週間以上連続で使用することは避けてください。2~3週間使用し続けたら肝臓内の精油成分をいったん排出させるためと肝臓を休ませてあげるために7日ほど休むと良いでしょう。休憩後にまた同じケアを継続される場合でも、使用する精油やブレンドを変更するのがベストです。

上記の説明と被ってしまうのですが、精油も、精油以外のものも、1日の使用量x継続日数が本人の限度(個人差があります)を超えた場合、アレルギーを発症する場合があります。精油の代謝経路は人間に存在してはいるものの、精油は高濃度の植物成分を含んだ物質のため、製品に問題がなかったとしても使用量と頻度が多ければ負担が大きくなりトラブルに繋がりますので、長期の単一の精油あるいはブレンド精油の大量継続使用は避け、体調などに変化はないか注意を持って使用しなければなりません。


頻度や使用量を、実際の必要によって調整する

直接塗布出来るものだから大量に使用しても大丈夫、不安だから毎日たっぷり多めに・・・と利用されるのではなく、ご自身に必要な分だけ取り入れられるようにしてください。ご自身の心と体に対する感受性を高めて、心地よい量を使用なさると良いですね。​


濃度を下げる
原液で直接塗布出来る精油や精油のブレンドでも、10~50%濃度に薄めてお使いいただくと、アレルギーの危険性を更に下げることが出来ます。
ほとんどの精油は、原液塗布出来ると言われている種類のものでも、30~50%濃度程度でそれなりの効能を呈します。

 

これはアレルギーなの?

適切な使用方法にて精油や製品を使用した後、下記のいずれかが起こった場合、その精油に対してアレルギーをお持ちの可能性があります。

同時間に近くにあった他の物体の影響の可能性もあります。

以下の症状が起こったと感じた場合、その精油の使用は速やかにお控えください。

咳がかなり出る、喉が詰まる感じ


繰り返すくしゃみ、さらさらの鼻水

発熱、悪寒

嘔吐、吐気

発疹、発赤、腫れ、傷み、ピリピリ感