極性について
アロマの基材の種類
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植物油
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ホホバオイル(ワックス)
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無水エタノール(アルコール度数96%以上)
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水溶性ジェル(精油は溶解していない)
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スピリタス(アルコール度数96%のお酒)
この中には、
- 水に混ざらない親油性のもの(非極性物質)のもの
- 水とも油とも混ざるもの(両極性物質)
- 水としか混ざらないもの(極性物質)
があり、その特性を理解して選択されると良いでしょう。
極性(親水性と疎水性)、両親媒体
アロマテラピー実践における基礎知識として、水溶性(親水性)と疎水性に関しても少しお話しておきたいと思います。
極性とは?
極性とは電気的な偏りがある不安定な分子で、電気的安定性を求めて他の分子と結びつこうとする性質のことを指します。
油は電気的に安定している為、極性がありませんが、水は電気的に不安定であるため、極性がかなり高い物質です。
親水性を呈する物質の特徴
・極性を有する物質
・水素結合する分子を持つ物質
・電離する物質
水素結合が出来る分子
水素結合とは分子間の相互作用のことで,水素原子(H)と,水酸基(-OH)・や窒化水素基(-NH)など、特定の原子間との間に起こります。水素結合を形成する分子には、例えば水(H2O)、アンモニア(NH3)などが挙げられます。
例えば水分子の中の酸素原子は、常にマイナスに帯電しており、常にプラスに帯電している水素原子と相互に強く引き合っています。それだけでなく、自分の周りにいる水素結合を持つ分子の持つ、水素原子、窒素原子も引き寄せようとして、それぞれの分子同士の強い引力が働きます。
電離する物質って?
水に溶けた時に、陰イオンと陽イオンに分かれる物質のことです。
例: 塩化ナトリウム(NaCl⇒NA+とCl-)
疎水性を呈する物質の特徴
上記の水溶性を呈する物質の特徴を持っていない分子です。
精油やオイルに見られる分子で言うと、CmHn(炭化水素)の形で結合している構造を持つ分子が疎水性を持ちます。
エタノールは両親媒体(水にも油にも可溶)
エタノールは親水性と疎水性両方の構造をバランス良く持つC2H5(炭化水素)の疎水構造と、水酸基(-OH)の親水構造、両方を持ち合わせています。
ですが、両方を持ち合わせていたとしても、疎水構造部分の力が親水構造の力よりもかなり大きい分子ならば疎水性を呈します。逆に、親水構造の力のほうが大きいのであれば親水性を呈します。
エタノールの場合は、疎水構造部分と親水構造のバランスがちょうど良いくらいなので、水とも精油・オイルともよく混ざるのです。
ですが、エタノールは水か精油(油)かどちらかだと、水のほうがよく混ざります。そのため、精油とエタノールを混ぜたものに水を加えると、エタノールはより他との反応を喜ぶ(=極性が高い)水を選び、油から離れて水の方に移動し始めます。アルコール濃度が80度未満になると、エタノールと水の混合溶液の精油飽和量が極端に減ってしまい、疎水性の精油は弾かれてエタノールから分離してしまうのです。
精油の構造
ここで精油の構造も見てみましょう。
精油の芳香分子にはCmHnの形で成り立つ疎水性の炭化水素に、疎水性だけでなく親水性を持つ官能基が結合しているものも多数存在しています。
親水性の官能基と、それと関連する芳香分子分類
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-OH(水酸基):アルコール類、フェノール類
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-CO-(ケトン基):ケトン類
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-CHO(アルデヒド基):アルデヒド類
ですが、精油に含まれる芳香分子は最低でも炭素数が10 以上で親水性の官能基よりも疎水性の炭化水素基の影響力が大きい為に親油性を呈し、一定の濃度以下のアルコールには十分に溶けないのです。