食品添加物なら安全?

こんにちは!サクララヴニール🌸喜多です。

「次回は成分分析について書きます!」と>>Facebookページでは予告していたのですが、成分分析表のデータの入っているパソコンが職場にあるのに書きたい記事が思い浮かんでしまいましたので順番が前後してしまいます。ごめんなさい!

 

今回は表題の通り「食品添加物としての認可を得た精油なら安全なのか?」という質問をよくお受け致しますので、それについて詳しくお話していきます。

まず、その答えはNOです。

前の会社でハーブやスパイスなどの食品輸入を担当していた私としては食品輸入の認可申請の方法も知っているので、「認可があるからと言ってその商品が安全かどうかはまた別」だと思っております。

 

2022年2月追記

「厚生省は食品添加物の認可を出していないという話を聞いた」というご質問を受けたのですが、実際は以下の通りで、精油ごとに食品添加物として販売するという申請を出して輸入ごとに、精油1種類ごとにを得てから通関しています。この申請をせずに通関させた食品や食品添加物をそのように謳って販売してはいけません。

 

①食品添加物と精油の使用方法、そして②食品輸入と、2つの視点でお話してみます。

 

①食品添加物と精油の使用方法

弊社ページの「精油の使用の仕方 食品添加物の香料として」にも記載しておりますが、精油は「天然香料の基原物質」。食品添加物ですらなく、食品添加物の原料になるものなのです。

つまり厚生省の精油の認可は、「食品添加物 天然香料を作る為の”材料”として、薄めて使用する」時の話です。例えば紅茶の香りづけに使用する精油は1杯分あたり0.000033~0.001滴くらいで十分であり、精油を飲んでいるとは決して言えないような量です。この濃度であれば、その種類の精油に対してかなり重度のアレルギーをお持ちの方ではない限り、心身にはっきりした影響が出る可能性は非常に低いです。

例えば、アロマテラピーの世界では肝毒性があるので内服不可とされている精油も一部、使用濃度の関係で天然香料基原物質リストに含まれています。

ですから、食品添加物天然香料の基原物質として輸入されているのなら安全に飲用や塗布が出来るということではありません。認可されているイランイランでも経口摂取は出来ません。確かに人間には精油を代謝する経路はあります。

ですが、精油は自然の植物から抽出した高濃度の成分であり、その使用方法を誤ればトラブルの元になります。精油1滴はハーブティー数十杯分に匹敵しますので、飲用に関わらずその人にとっての許容量を超えて使用すれば、精油を代謝して体外に排出しようとする肝臓や腎臓の機能に悪影響が出るでしょう。

超激辛のデスソースやサドンデスソースも厚生省の認可を受けて調味料として輸入販売されていますが、大量に料理に混ぜたり飲んだりしたら危険ですよね。調味料として適度に使うのは安全でしょうが、1回に大量あるいは毎日それなりの量を摂取していたらいつかは体調を崩します。私の知り合いはデスソースを常備し週1本は使いきるほどの極度の辛いもの好きでしたが(友人はみんな心配していた)、ある日突然倒れ医者からデスソースNGを言い渡されていました。つまり認可があれば問題が起こらないわけではありません。

つまり使用方法や濃度、量、頻度、そして使用者個人の状況や体質で危険かどうかは変わりますので、飲用のみならず精油の使用には十分な注意が必要です。食品添加物の基原物質として使える!というだけで安全と言うことは言えません。製品が100%安全だとしても、アロマテラピーを本当に安全で有益なものにするかどうかは使用者次第、そして業者の案内次第です。

私たち販売者がはっきりと消費者にお伝え出来るのは、「正しい方法によって使用されるのであれば弊社の精油は安全、ただし使用者の特異体質や状況は別途、使用時に考慮する必要あり」という範囲です。

 

 

②食品等の輸入実務の話

食品や食品添加物の輸入許可申請は、きっちりした書類(食品等輸入届出書/場合により安全性データシートや成分分析テスト結果など)を厚生省に提出する必要があります。

厚生省食品監視課にチェックされるのは、「日本国内では医薬品として扱われている原料や製品ではないか」「麻薬など危険物質ではないか」「輸入禁止物質ではないか」「放射線処理を行っていないか」などが確認出来る書類です。初回は商品の保管場所に食品監視課の職員さんが向かい、現物を見る現物チェックも行われることも多いです。

ですが、それで厚生省は「この会社が食品(あるいは食添、食添基原物質)として輸入し販売しようとしている商品が、食品(略)として認められるものなのか」をチェックします。安全性が確認出来たという証拠の提出は輸入者に求められないこともあります。中国や東南アジアの製品は過去に問題が起こったことも多かったので、検査結果の提出がアメリカやヨーロッパ諸国に比べて要求されることが多いのですが、私どももサクララヴニールの精油の輸入に関して成分分析表や残留農薬試験の結果は求められなかったので提出していません。SDS(安全性データシート)の提出は求められましたがあくまで書類上の者で、厚生省がテストをしてくれるわけではありません。企業が自社と公共の利益のために安全性を自分たちで確認したものを販売することは、厚生省が確認するまでもない前提なのだと思います。

つまり、厚生省の輸入許可を受けているといっても、それそのものが厚生省がそのメーカーの商品の安全性を完全に保障出来ると検査した上で太鼓判を押してくれたことを示すわけではありません。

 

まとめ

私たちが言えるのは、「精油は厚生省に届け出ることにより、食品添加物 天然香料の原料の認可を受けることが出来ます。この精油はその認可を受けて輸入(あるいは販売)されています」ということだけです。「厚生省の認可があるから天然香料の原料として使うことが出来る」という表現は正しくても、「厚生省の認可があるからこの精油は安全」と書いてしまうのは誇張表現であり、マーケティングの為の文言です。そのように伝えて販売している方がいらっしゃることはとても残念です。

また、どのような食品や製品でも用途が間違っていれば安全ではありません。精油は身近な雑貨として販売されていますが、注意と知識を持って使用しないと思わぬトラブルになることがあります。適切な使用方法を素敵なアロマテラピースクールで是非しっかり学んでください。それでも、自分で調合しての内服はお勧めしません。

 

余談

デスソースについて調べていたら「タンソース」という商品を見つけました。買ってみようかな?

アロマテラピー精油の試験食品添加物