安定した精油のルームスプレー作成

精油で作るルームスプレーのレシピがネットでよく紹介されています。

10mLの無水エタノールに精油を数滴入れてしっかりと混ぜてから、90mLの水を入れると、通常水と精油は混ざらないのに無水エタノールの「水にもアルコールにも溶ける力」で混ざるようになる・・・というものです。

私も十数年前になりますがそのレシピを見まして、花火大会の前に虫よけスプレーを作ろうと無水エタノールとコリンビアシトリオドラ(レモンユーカリ)などを混ぜて作りました・・・が。

しばらくしたら、分離してしまったのです。少なくとも翌日には完全分離。レシピ通りに作ったのになあと、大変不思議に思っていました。あるいは白濁してしまって、これでいいのかな?と悩んだり。

 

 

精油は、アルコール度数80度未満の溶液にはほとんど溶けません。

 

100%の無水エタノール10mLに90mLの精製水を足すと、アルコール度数は10%(容量濃度)です。無水エタノールに精油を加えると容易に溶けますが、水を混ぜた時点でアルコール度数が10%(容量濃度)近くにまで一気に下がるため溶液が含有出来る精油量もそれに合わせて相当に減ります。また、精油を無水エタノールに落とすと最初は確かに溶けますが、水と精油であれば無水エタノールは極性の高い水のほうを好んで反応しますので、結局エタノールは精油と分離して、水のほうに移動してしまいます。一部精油と結びついたままになる部分もありますが、乳化しているように見えて原液に近い状態の精油も浮遊しています。

​※容量濃度:通常、濃度は重さで計算しますが、アルコールなどは容量割合で濃度計算をする場合があります。それを容量濃度(単位v/v%)と言います。

 

●溶液が白濁=溶けていない精油成分が存在している

白濁している時、無水エタノールに完全には溶解していない精油が存在している状態を示します。先ほども書きましたが、乳化している精油もありつつも、その周辺には乳化した精油にくっついて、そのままの精油も浮遊していることが多いです。

​消毒用エタノールは72~76%濃度くらいで販売されていますが、100ccに対して真正ラベンダーの精油1滴を落として振り交ぜたところ、白濁し溶けてはいませんでした。

 

安定したルームスプレーを作るには

お勧めなのは、無水エタノールと精製水と精油を足した時に、アルコール濃度が89~90%(容量濃度)程度になるようなアルコール溶液を作ることです。89%あれば、ほとんどの精油が溶けているように思います。ただ、アルコール度数が高いのでお肌に使うのには向いていません。

作成手順ですが、無水エタノール90mLに、(精油+水)が10mLになるように割合を考えます。そして先に無水エタノール90mLに精油を溶かしてから、水を足すのが良いでしょう。あと、肌についてしまうことも考えて、ベンゼンやメチルアルコールなどが添加されていない、優しい非変性アルコール(かつ、植物から作ったエタノール等だとなお良い)を使用するのがベストです。

ですが精油の種類や量によっては溶け切らないかもしれません。

 

 

 ●スプレーの注意点

お子様など​アルコールに弱い人は、エタノール濃度が高いスプレーが空間にまかれると酔ってしまう等、害が出ることもありますので気を付けてください。

あと、マスクにスプレーした直後にマスクをつけるとアルコールを吸引してしまい、むせます。

エタノールが揮発してもマスクに精油成分が一部残ってしまうので(精油も揮発しますし、やがては香りはほとんどしなくなりますが)、マスクの内側に使うことを意図して製作される場合、可能な限り優しい精油を使い、最低限の噴射になさるとより良いですね。